消費ナビ:ネット上でノウハウや情報を販売する「情報商材」に関する相談が…
◆ネット上でノウハウや情報を販売する「情報商材」に関する相談が急増しています。
◇「確実」「必ず」は要注意
◇疑わしい「返金保証」 若い世代の被害多く
国民生活センター、注意呼びかけ
インターネット上で「必ずもうかる」などと独自のノウハウや情報を通信販売する「情報商材」に関する相談が急増し、国民生活センターが注意を呼びかけている。購入するまで具体的な内容が分からず、入手後に期待した中身と異なることに気付くケースが多い。「効果がない場合は返金を保証する」などとうたうが、実際は消費者からの苦情に業者が取り合わず、連絡が取れなくなるケースも目立っている。
「情報商材」は、「○○するだけで毎日1万円稼ぐ」などのビジネス関連の情報のほか、「必ずモテる方法」「書店では手に入らないフラダンスのノウハウ」などの情報もある。ネット上の広告には情報の内容が詳しく書かれておらず、「効果があった」などという「利用者の体験談」とされる記事が並んでいることが多い。
センターによると、情報商材に関する相談は05年度まではゼロだったが、06年度に37件寄せられて以来増加し、09年度は937件にものぼった。
06年度以降の相談者では30代が31・6%と最も多く、40歳代27・2%、20歳代17・9%と続き、若い世代が目立つ。職業別では会社員などの「給与生活者」が47%と約半数を占め、無職が19・3%だった。中には「会社が倒産したので、収入を得るため購入した」という人もいた。センターは「わらにもすがる思いで信じ込んでしまうケースもあるだろう」と分析する。契約額の平均は5万3000円で、価格帯では1万~5万円が全体の49・9%と最も多かった。
センターが相談のあった商材の販売業者に問い合わせを試みても、連絡が取れないケースがあり、広告を載せていたサイトの管理者に問い合わせると、「当社は場所貸しであり、販売業者とは無関係」として対応しなかったという。
広告で「確実に」「間違いなく」などと断定的に表現したり、事実と異なる表現をして、買い手に誤認させた上での契約は消費者契約法に違反する疑いがある。また、「通常4万円を今だけ1万円」などの二重価格表示は、景品表示法違反の疑いがある。
センターは「『必ずもうかる』など断定的な表現がある場合は注意が必要。返金保証があっても安易に契約しないで」と呼びかけている。
◇事例1「○○するだけで毎日1万円を稼ぐ方法」
奈良県の40代サラリーマンは「業務手当の支給を保証(1件1500円)」「手当の支給がなければ90日間は無条件で代金を返却する」とも書かれていたため、クレジットカードで3万円を支払った。メールで届いたのは、特定企業のホームページの誤字脱字を指摘する仕事で、作業をしたものの「既に他の人が探した個所なので手当は出せない」として無報酬だった。
◇事例2「このマニュアルを実践すれば間違いなく結婚できる」
千葉県の30代女性が「1年間試しても恋人ができなければ全額返金する」という広告を見て、1万円をカードで支払った。「芸能界で活躍している女優も注目!」「通常価格約4万円を300部限定で1万円」などの表現もあった。マニュアルの内容を1年間実行したが効果はなく、業者にメールで返金を請求しているが返事がない。
◇事例3「年間2000万円以上稼ぐ方法を公開」
兵庫県の20代の女性は、「3カ月実行して100万円以上の収入がなければ全額返金」と書かれているのを見て、約5万円をカードで支払った。届いた情報は「派遣会社を開業し、人材を企業に紹介して手数料を稼ぐ」という内容だった。開業には合計500万円以上かかることが分かり断念。業者は返金を拒否し、最終的に連絡不能になった。
毎日新聞 2010年4月29日付 朝刊
2014年10月22日
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