日経パソコン 2011年5月23日

2015年4月10日


インターネットでは、有益な情報が多数提供されている。情報の多くは無料だが、有料の情報もある。その一つが「情報商材」だ。
ここでの情報商材とは、一般にはあまり知られていないノウハウなどを指す。例えば「お金を稼ぐ方法」や「異性にもてる方法」などがある。情報商材は、PDFファイルやDVDなどの形式で提供される。価格は数万円程度。一般の書籍の10倍以上であることがほとんどだ。
当然のことながら、情報を販売すること自体は問題ない。高価であっても、購入者が納得していればかまわない。問題になるのは、情報商材の販売業者が悪質で、ユーザーをだます意図がある場合だ。例えば、実際の内容が宣伝とは大きく異なる場合や、「完全保証」などとうたっていながら返金しない場合などが考えられる。
苦情を言うとドロン
悪質な業者の手口は以下の通り(図1)。悪質業者は、迷惑メールや検索サイトを経由して、ユーザーを販売サイトに誘導する。販売サイトでは、「もうからなければ全額返金します」などとして、ユーザーを安心させて購入させようとする。
信用したユーザーがクレジットカード払いや銀行口座振込で代金を払うと、PDFファイルなどで情報商材が送られてくる。しかしその中には、宣伝文句とは異なり、役に立たない情報だけが記載されている。そこで、ユーザーが苦情を言ったり、返金を要求したりすると、相手と連絡が取れなくなる。
事前には中身が分からない情報商材を購入させるには、ユーザーに信用してもらう必要がある。そこで販売業者は、宣伝文句を工夫する。その一つが「完全保証」(図2)。ところが悪質業者は、実際には返金するつもりがなくても、完全保証をうたってユーザーをだます。
もう一つの工夫が、その情報商材で稼いだというユーザーの成功体験談。現金や預金通帳、確定申告などの写真を、その「証拠」として掲載しているサイトが多い(図3)。
常識で考えよう
しかし実際には、悪質業者の情報商材で成功するユーザーはいない。国民生活センターなどには、情報商材に関する相談が多数寄せられている(図4)。その多くは、金もうけの情報商材に関するものだ(図5)。
悪質業者にだまされないためには、うまい話に注意することが第一(表1)。常識で判断しよう。「簡単に稼げる情報」など存在しない。
「完全保証」といった宣伝文句をうのみにしないことも重要だ。販売サイトに書かれているからといって、守られるとは限らない。
購入前には、業者の連絡先なども確認しておこう。業者によっては、Webサイトに連絡先が記載されていない場合がある。また、検索サイトで業者の評判を調べるのも有効だが、過信は禁物。自作自演の評価サイトが存在するからだ。
払ってしまった代金を取り戻すのは至難の業。商品が情報であるため、返品することも難しい。少しでも不安を感じたら、購入を控えよう。
●誇大広告で宣伝、役に立たない情報を販売
図1 悪質な情報商材販売業者の例。Webサイトでは「もうからなければ全額返金します」などと安心させる。購入すると、ほとんど無価値の情報が送られてくる。そこで返金を求めると、業者は一切応じないで姿をくらます
●「稼げなければ全額返金します」
図2 情報商材販売サイトの例。「完全保証」として、もうからなければ全額返金するとうたっている業者は多い
●その気にさせる「成功例」
図3 情報商材販売サイトに掲載されている画像の例。実際にもうかっていることを示す証拠として、現金や税金の書類、預金通帳などの画像を掲載しているWebサイトは多い
●悪質業者に関する相談が相次ぐ
図4 国民生活センターおよび全国の消費生活センターに寄せられた情報商材に関する相談件数の推移。2009年度については、2010年2月末日までの件数
●「うまい話」など存在しない
図5 国民生活センターに寄せられた相談例。同センターが公開している情報を基に、編集部でまとめた
●情報商材詐欺対策5カ条
表1


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