毎日新聞2010年8月31日付 地方版

2014年11月4日


◇…世の中、それほど甘くない
インターネット上の誇大広告で客の心を引きつけ、情報を高額で売りつける「情報商材」の被害が道内で相次いでいる。ネット上では「もうかる」「女性にもてる」などとアピールするが、購入してみると、実際にはほとんど役に立たない情報が多い。こうした契約は特定商取引法の「通信販売」に当たり、一定期間内に商品を解約できるクーリングオフ制度が適用されないため、道立消費生活センターが「購入は慎重に」と注意を呼び掛けている。【和田浩幸】
●ケース1 30代女性
「国家予算からの還元金が受け取れる」
今年2月、インターネット上のブログに掲載された広告にひかれ、業者から約5万円の情報をクレジットカードで購入した。
後日、文書ファイルが添付されたメールで情報が送られてきたが、中身を確認すると、「競馬場で捨てられた馬券から当たり馬券を探し出し、換金する」という内容だった。
馬券を拾い、換金することは違法。
その後、女性は業者に返金を申し出たが応じてもらえず、同センターに相談。結局、カード会社が決済を取り消してくれたため、支払いは免れたという。
●ケース2 40代女性
昨年6月、「在宅即金ネットビジネス」と題した情報商材を約7万円で購入した。「1日1時間程度、ネット上の広告をクリックするだけで、毎日数千円~数万円受け取れる」とうたっていたが、送られてきた情報は「広告を出したい人と広告を掲載してほしい人の仲介を行う」など、素人では難しいビジネスの手法が書かれていただけだった。
◇消費センターへの相談、昨年度急増
同センターによると、情報商材に関する相談は、06年度までは一切なく、07年度(3件)以降に寄せられるようになった。08年度も3件だったが、09年度は18件と前年度の6倍になった。
同センターは、「通販の場合、買う側にも一定の責任がある」とした上で、購入する場合は(1)情報が具体的に書いてある(2)返品できる(3)納品後に支払いできる――の3条件をすべて満たしたサイトを選ぶよう呼び掛けている。
斎藤清美・相談部主幹は「情報に価値があるかどうかは人それぞれの判断だが、広告と現物のギャップが激しい商材が多い。購入する際はサイトの信用性を十分確認してほしい」と話している。
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■ことば
◇情報商材
インターネットの通信販売で売買される情報。一般にはあまり知られていないとされる情報や、自分の経験に基づくという内容が多く、「〇〇円の収入が得られる方法」「必ずもてる方法」などとPRする。主に文書ファイルでメール送付され、パソコンにダウンロードし、閲覧できる。冊子やDVDなどの場合もある。


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