日本経済新聞 2009年11月20日付 夕刊

2014年9月30日

広告載せ紹介料”アフィリエイト”
 インターネットのホームベージに商品の広告を掲載して紹介料を得る「アフィリエイト」を巡るトラブルが増えている。仲介業者と高額な契約を結んだものの、説明通りの利益が出ないなどのケースが自立つ。経済情勢が厳しい中、ネットを使った手軽なサイドビジネスに関心を寄せる人が多いが、国民生活センターは「契約する場合は慎重に」と注意を呼びかけている。
ネット副業 気をつけて
 「指示通り簡単な作業をすれば収入は上がる」。
大阪府の20代の主婦はアフィリエイトを勧誘した業者を信じ、約40万円を支払った。しかしまったく収入にならず、3月、消費者生活センターに相談した。
 アフィリエイトなどのネット上の副業について全国の消費者生活センターに寄せられた相談は、2005年度の63件が08年度379件に急増。今年度は9月までの半年間で356件に上る。相談者は、30代が36%、20代が30%、40代が20%で比較的若い世代に多い。職業別では会社員56%、主婦22%、学生6%など。契約金額は平均約70万円で、500万円を支払った人もいた。
 仲介業者は高額なホームページの作成料やサポートの見返りに、「必ず高収入が得られる」などと誘うが、相談では、充分なサポートもなく、「やり方が悪い」「ブログを毎日必ず更新するように」と言われるだけのケースが目立つ。
 オフィスビルに事務所を構えて信頼させる業者もあるが、急に連絡が取れなくなったり、倒産したりすることもあるという。
 ネット上で個人が商品の販売窓口になる「ドロップシッピング」のトラブルも目立つ。東京都の30代の男性会社員は昨年12月、ドロップシッピングに135万円を支払ったが、サポートもなく、利益は半年で1万円に満たなかったという。
 ドロップシッピングでは、ホームページに運営者として自分の連絡先を表示した場合、特定商取引法に定める通信販売として、広告表示への規制のほか、商品に欠陥があった場合に購入者に対して責任を持たなければならなくなる。ただ業者からこうした説明はほとんどされていないようだ。
 相談者も多くが契約内容や仕組みを理解しないまま業者の説明をうのみにしているといい、国民生活センターは「自分で努力せずにお金をもうけられるという話は信じないこと。契約する前に、どのように利益が生じるのか、業者にきちんとした説明を求めるなど、契約内容を慎重に検討してほしい」としている。

高額で契約「利益出ない」/ 生活センター、相談急増

▼アフィリエイトとドロップシッピング アフィリエイトは自分のホームページに提携先のメーカーや卸業者の商品広告を掲載し、閲覧者がその広告をクリックして商品を購入した際に一定の報酬を提携先から得られる仕組み。ドロップシッピングは同様に商品広告を掲載したうえで閲覧者から購入の申込みも受け付けるが、実際の商品は提携先に発送してもらい、販売価格と卸売価格の差額を利益として得られる。

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