日本弁護士連合会コンピュータ委員会
副委員長 岡田 崇 弁護士

2015年1月2日

日本弁護士連合会コンピュータ委員会 副委員長 岡田 崇 弁護士

消費者契約法第4条、これで情報商材の購入は取り消せます。
そしてまず、カードの引き落としをストップしましょう。

—購入した情報商材(情報教材)の代金を取り返すための方法を教えてください。

 販売者に対しては民事の責任ということだったら、いちばん簡単なのは消費者契約法で取り消しですね。

 消費者契約法4条(脚注1)の不実告知というのがあるんだけど、弁護士的発想ですとこれが一番。誇大広告の情報商材は消費者契約法を根拠に一旦結んだ契約を取り消しができる、つまり無効だって言えるんです。無効だから金を返せ、と。

—販売者はお金を返す義務があるのですね?

 そう、これが一番楽ですね。ただ、販売者によるんですけど、業者は悪賢いから微妙な広告の書き方をしているケースが結構あります。販売者が拒んでくる可能性はあります。ただ、裁判になれば取れると思いますが。

—アフィリエイターがメールマガジンやブログで宣伝するための広告文や宣伝用の記事は販売者が用意するケースが多いのですが、一方アフィリエイターが高額の報酬に目が眩んで誇大・虚偽の宣伝をすることも多いのが現状です。そういう場合、販売者はアフィリエイターに責任を押し付けることも考えられます。

 大丈夫です。アフェリエイターの勧誘が元でその消費者が契約したというときも、消費者契約法5条「媒介の委託を受けた第三者及び代理人」(脚注2) という条文があって、その販売者が委託した者、つまりアフィリエイターがその勧誘をして、その勧誘に不実の告知等があった場合は取り消しができるんです。
まあ、法律を作る方も一応いろんなケースを考えているわけです。

—情報商材の返金が「法律上」比較的容易であることはわかりました。しかし、販売者が拒んだ場合、どうしたら良いのでしょうか?


(脚注1:消費者契約法第四条 「不実告知」と「不利益事実の不告知」による契約の取消)
第四条  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、そ れによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来におけ る変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利 益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限 る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、こ れを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りで ない。
3  消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約 の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一  当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこ と。
二  当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去 させないこと。
4  第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響 を及ぼすべきものをいう。
一  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容
二  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件
5  第一項から第三項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

(脚注2:消費者契約法第五条「媒 介の委託を受けた第三者及び代理人」)
第五条  前条の規定は、事業者が第三者に対し、当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委 託」という。)をし、当該委託を受けた第三者(その第三者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下「受託者等」という。)が 消費者に対して同条第一項から第三項までに規定する行為をした場合について準用する。この場合において、同条第二項ただし書中「当該事業者」とあるのは、 「当該事業者又は次条第一項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。
2  消費者契約の締結に係る消費者の代理人(復代理人(二以上の段階にわたり復代理人として選任された者を含む。)を含む。以下同じ。)、事業者の代理人及 び受託者等の代理人は、前条第一項から第三項まで(前項において準用する場合を含む。次条及び第七条において同じ。)の規定の適用については、それぞれ消 費者、事業者及び受託者等とみなす。

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