日本弁護士連合会コンピュータ委員会
副委員長 岡田 崇 弁護士

2015年1月2日

知らないうちに犯罪者!? アフィリエイターも詐欺に問われる事実

—先ほどわいせつDVDの例が出ましたが、情報商材の販売者や販売モールの刑事責任を追及するにはどうすればいいのでしょうか?

 特商法11条違反で刑事告訴をすることでしょうか。ただ、特商法だけなら罰金100万円だから、警察としても詐欺につながらないと動きたくないのですよ。被害金額もパチンコ攻略法詐欺のように大きくなれば警察の動きも全然違う。情報商材販売モールについては販売者の共犯として詐欺に問われる可能性は十分あります。内部告発とかあるといいんですね。どちらにせよ、情報商材は一つの被害が1万円、2万円なので立件にこぎつけるためには被害の総額ということになるでしょ
う。

—詐欺での立件というのは簡単ではないのですね。

 詐欺っていうのはね、意外と厳しいんですよ。この前摘発された出会い系の詐欺、あれも結局、ミクシーのIDとかパスワードを横領して侵入したという不正アクセス防止法違反を突破口にして詐欺で立件したのよ。
だからいきなり詐欺ではやっていない。不正アクセス防止法違反という玄関があったから入れた。だから今の世の中に「詐欺まがい」が溢れかえっている。
立件のハードルが高い割には刑事罰も軽いし。決して死刑とか無期懲役になる犯罪ではないんですよ。だからこういう詐欺まがいの商売をやる人間が減らない。詐欺の被害者から私なども「犯人は死刑にしてほしい」と言われたことがありましたが、ある意味もっともじゃないかと思うんですよ。

しかし、これだけ規模が大きくなれば「詐欺まがい」では済まされないでしょう。警察も動かざるを得ないんじゃないですか。

—アフィリエイターは刑事的又は民事的にどのような責任があるでしょうか?

 アフィリエイターっていうのは商品を薦める人でしょ。商品の内容と販売者の説明を比べて出鱈目だと知りつつ勧誘すればそれ自体が詐欺の正犯になりますよ。結局販売者の手足となって勧誘しているのですから自分がやっているのと一緒です。アフィリエイターまで立件されれば画期的なことです。民事でも同じで、詐欺の片棒を担いでいるということだから、責任を負うでしょうね。損害賠償の責任を共同して負うということです。

—インチキなアフィリエイトの情報商材を購入し自分もアフィリエイトを行うとか、販売者からサンプルの提供を受けていたり、客のクレームで事情を知った上でアフィリエイト活動をしたらアウトということですね?

 自分がダメな商材と分かっていて、勧誘していたらその時点で詐欺じゃないですか。

詐欺罪での立件は被害と情報の集約がカギー

—情報商材の販売者や販売モールを告訴するにはどうすればいいのでしょうか?

 刑事告訴したいというんだったら、別に簡単ですよ。警察に行って告訴すればいいんです。それだけですよ。ただ、告訴というのは受理すると刑事訴訟法で捜査義務や送致義務が生じるので、簡単には受理しないんですよ。警察の本音から言えば手間のかかる詐欺の捜査を被害額1万円、2万円では動きたくないないという認識。一人から100万ずつ騙すなら結構大げさな事件になっちゃうと思うんだけど、その点情報商材はある意味、目の付け所が上手い。巧妙。だから告訴する場合被害の量が重要。

—情報商材の販売者や販売モールが立件されるとなると、もっと組織だって被害金額を積み上げる必要があるのですね?

 被害者を集約して、資料をそろえて、警察へ告訴すれば動く可能性は高いですね。それと内部の人間や、組織に関係の深い人間の証言。これが加わるといい。

カテゴリー:専門弁護士に聞く |