情報商材販売モールは
楽天やヤフーオークションとは異なる法的責任を負う
—情報商材販売モールも販売者だからこちらへ返金を求めることが出来ると考えられますが、当の情報商材販売モールは規約などで販売者としての立場を逃れるような記述をしています。法律的にはどうなのでしょうか。
まず、規約云々というのはあまり関係ないと思うんですよ。弊社は一切責任を負わないというような条項なんて入れても意味がないんです。
規約の有効性というのを言っても全然意味がないんですよ。結局その損害賠償責任を情報商材販売モールに負わすことは簡単にできるんです。それよりも、売主・買主の概念は民法の根本的なところで、どう決まるかというと当事者の合意なんです。
つまり、買った側が情報商材販売モールから買ったと認識しているか、商品の発行者から買ったと認識しているか。情報商材販売モールに騙されたと思っているか、発行者に騙されたと思っているかです。形式的には規約の中に情報商材販売モールは売主ではないと書いてあったとして、消費者の意識はどうなのか? そこが重要なのです。
消費者が発行者から買ったと認識していれば、やっぱり発行者と消費者の間で売買契約が成立しているということで情報商材販売モールの方は関係ないという結論になるんですよ。それは実際に個別に被害者に聞かないと分からないし、裁判所の判断も個別になる。一概にASPが販売者になるとも言えないし、情報商材販売モールが販売者にならないとも言えないのです。
—情報商材販売モール側は楽天やヤフーオークションと同じで販売者としての立場も責任もないと逃げていますが、その理屈には一理あるということなのですね?
電子書籍をアフィリエイトと組み合わせる今の情報商材のスキームはある種、悪徳商法の到達点といっても過言ではないように完成されています。非常に複雑で我々消費者問題を専門としている弁護士でも厄介に感じます。そういう意味でもよく出来た逃げ口上だとは思います。とても楽天とヤフーと同じということは考えられませんよ。
情報商材販売モール、販売者、アフィリエイターには共犯関係が成立
—情報商材販売モールにも責任がある?
楽天は商品在庫の管理とか配送までやってませんし、お金の回収もしていませんからね。楽天とは違って、商品、つまりPDFは情報商材販売モールから消費者へ送られるんです。
要は商売自体に深く関与してるということ。単なる場所貸しという主張は当たらないよね。
—情報商材販モールも賠償責任を負う立場にある?
売主かどうかは個別の判断になりますが、少なくとも情報商材販売モールに責任はある。
例えば刑事事件で、わいせつ物の頒布に置き換えれば分かりやすいですよ。違法なわいせつDVDの内容を知ってて在庫管理をして、注文を受け付け、発送し、代金を回収すれば明らかにわいせつ図画販売の共犯ですよね。
逆にわいせつDVDの販売を装いながら、DVDの内容が空っぽだったら詐欺罪の共犯に問われるでしょう。だからこの例でいえばわいせつDVDを製造していた者が主犯なんだけど、内容を知って重要な部分を手伝っていた側も共犯や共同正犯に問われるわけ。民事でいえば、共同不法行為や管理責任が問われるということですよ。
情報商材販売モールは刑事・民事両方で法的責任を負いやすい形態といえます。