日本弁護士連合会コンピュータ委員会
副委員長 岡田 崇 弁護士

2015年1月2日

使用したカード会社にも電話して
代金の引き去りをストップする

—判明した決済代行業者にリファウンドを要求すればいいのですね?

 そうです。でもちょっと待ってください。もう一つの「チャージバック」についても覚えてから同時に行動した方が効果的です。
リファウンドは販売者側の決済代行業者が返金に応じるものですが、チャージバックは情報商材を買った消費者が使用したクレジットカード会社(イシュアー)が決済代行業者側のクレジットカード会社(アクワイアラー)(脚注3)に対して、支払った代金を戻してもらう手続きのことです。消費者はイシュアーに対してチャージバック手続きを求めることになります。また、仮にすぐにチャージバックができなくても、代金の引き去りをストップしてもらうことです。つまり、カード会社には、「詐欺的な契約だから契約は無効。だから代金を返してもらう手続きをとってください」「これから販売者側と契約の取り消し交渉を行うけど詐欺的な契約だから引き去りはちょっと待ってくれ」という要請をするのです。

—インフォ○○などの情報商材販売モールの決済代行業者に返金を要求する一方、カード会社へも引き去りのストップを依頼して保険を掛けるということですね。

 そうです。少なくとも出会い系について言ったらこのやり方が定石です。購入者が使用したカード会社は請求を止めてくれます。その時注意することは、他の買い物などの支払いはきちんと支払いますと伝えてください。

すんなり返金されるかどうかは
カード会社や決済代行業者による

「クレジット決済の仕組みをよく知ることが被害回復への道筋」と岡田氏。

—決済代行業者やカード会社はリファウンドやチャージバックに応じてくれるのですか?

 リファウンドに応じる決済代行業者、なかなか応じない決済代行業者、チャージバックに応じるカード会社、なかなか応じないカード会社まちまちですが可能性は低くはありません。

—業者によるということですか?

 そうです。カード会社のチャージバックに対する対応の差は大きいですよ。流通、信販系は対応が悪いところが多い。また、銀行系でも何社かが合弁して出来た会社はトラブルに対応する機能が働きにくいです。それから年会費無料のカードよりも年会費がかかるカードの方がよい傾向にあります。例えば昔から国際カードを発行している某銀行系のカードはチャージバックの手際がよく、ノウハウの蓄積を感じさせます。
最近は出会い系詐欺などが増え、カード会社もチャージバックについて理解していますが、少し前まではカード会社の社員なのにチャージバックという言葉自体を知らない人がいたんですよ。その時代に比べれば交渉はしやすいと思います。

—チャージバックやリファウンドはいつまでにやればいいのでしょうか?

 チャージバックについては各ブランドで決められており、60日〜120日です。
決済代行業者がリファウンドに応じるのは、カード会社からチャージバックを食らうのが怖いからなので、リファウンドもその期間内に早目に要求すべきです。

—クレジットカードで支払った被害者はカード会社か決済代行業者から返金を受けられる可能性がありますが、銀行振り込みやコンビニ決済を利用した人も救済される方法はありませんか?

 もちろん販売者に返金を要求して素直に応じてくれればいいわけですが、確信犯でやっている以上、応じないんじゃないでしょうか。


(脚注3:イシュアー、アクワイアラ、チャージバック)
クレジットカード会社によるカード会員の獲得・管理業務を「イシュアー」業務と呼び、カード加盟店の開拓・管理業務を「アクワイアラ」業務と呼ぶ。

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