日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員
土井 裕明 弁護士

2014年12月2日

決済代行業者の責任を認める判例を勝ち取りたい

——出会い系詐欺を提訴した場合、想定される懸念事項としては、どのようなものがありますか?

 出会い系詐欺はなかなか証拠が残ってなかったりするので大変なんですよ。こんなメールのやり取りをしましたって主張したって、まず誰がその相手かも分からない。
しかも問題はメールと言っても普通のメールじゃないでしょ。サイトを経由してのやり取りだから、被害者の手元に記録が残ってないんですよ。全部画面のコピー残しておけば良いですけど、騙される前提で始める人はいませんからね。

 この間の刑事事件になったやつ(歌舞伎町の出会い系業者が詐欺で初摘発された)がどこまで突き止めているか分かりませんけど、刑事事件になればログを全部辿っていけばね、どこの誰がどこのIPからアクセスした時にこのメールが送られたっていうことが解明できるんだけど、民事だとそういうログはこっち側にはないから本当に状況証拠で立証するしかない。
私も被害に遭いました、私も同じ手口ですって人がいっぱい出てきてくれないとできない。それに比べれば、情報商材の方が出会い系よりも証拠がある分立証が簡単ですよ。

——出会い系の詐欺業者だけではなく、決済代行業者も被告にすれば画期的なのですね?

 結局、今まで決済代行業者に法的な手立てが打たれたことがないんです。私が思うのは、こんなことをやる奴は当然詐欺だけど、決済代行業者も詐欺の片棒担いでいるんだと。で、こんな苦情がいっぱい出てることを分かった上で加盟店契約も切らずにずーっと決済の肩代わりをやってきてると。それはもう共犯関係にあるんだから、両方を被告にして、消費者が払わされたお金を返せと言って訴訟をやるのが一番良いんでしょうね。
それで判決を勝ち取れば、決済代行業者も賠償責任あるんだという判例が残る。そうなれば今後はあんまりトラブルを起す奴らを自分のところの加盟店にしておくと自分も一蓮托生で損害賠償しなければいけないというようになる。
 ただ、裁判は手段で、裁判をやらずに多くの決済代行の問題案件が片付いていくのが最終目的。そうすると、問題の多い業者はチャージバックで決済システムから追放されるというのが、最終的に良いんじゃないかと思います。

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