インターネット消費者被害対策弁護団
事務局長 弘中 絵里 弁護士

2014年11月25日

民事の不法行為は「過失」でも成立。無責任な詐欺商品のアフィリエイトには賠償責任が発生

——詐欺罪の共犯とは考え方が異なるのですね?

 詐欺罪と異なり、民事的な不法行為は過失でも構わないのです。
例えば情報商材販売モールの場合、購入者から苦情が寄せられていており,このままでは購入者が被害をこうむることが予測できたのに,漫然と販売を継続していたと。それだって十分なわけですよ。

——共同不法行為という武器は情報商材詐欺と闘う上でとても有効だということが分かりました。他には何か返金を果たす武器はあるでしょうか?

 販売者に対してはいろんな主張ができて、まず民法96条の詐欺取り消し。「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」というものです。契約は取り消します。だから払ったお金を返してくださいという話ですね。
それとは別に,詐欺は不法行為だから、お金を払わされたのは損害だといって、民法709条の不法行為に基づいて、払ったお金を賠償してもらってもいいわけです。
あるいは、こんな内容だと思わなかったので、民法95条の錯誤「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする」で契約を無効だといってお金を返してもらったっていいし、購入から5年以内なら消費者契約法4条の不実告知で契約を取り消してもいい。要するに武器はたくさんあるということです。

アフィリエイターは氏名不詳でも刑事告訴できる

——情報商材販売モールは所在がはっきりしていますが、販売者は偽名や架空の住所を使用しているケースがあります。また、アフィリエイターはブログやメールマガジンだけで活動しているので、個人を特定できないのではないかと思いますが、それでも訴えることが可能なのでしょうか?

 刑事事件として告訴するのであれば、アフィリエイターを氏名不詳として告訴して警察の捜査に委ねればいいです。
民事の場合は、訴訟の中で情報商材販売モールが言い逃れをすれば、販売者とアフィリエイターの情報を開示しろと求めていきます。情報商材販売モールがそれを拒んだり隠したりすれば、そのこと自体が情報商材販売モールにとっては不利に働きます。
しかし、情報商材販売モールを主犯として、裁判をやっていきたいわけですから、その他のひとたちを開示するかどうかは、あまり根本的な問題ではないんじゃないかと思います。

——情報商材販売モールが開示を拒んだ場合、販売者やアフィリエイターが契約するサーバー会社やプロバイダーに情報の開示をさせることはできるのですか?

 情報商材販売モールが開示を拒むような場合は、訴訟のなかで、裁判所に販売者やアフィリエイターの情報開示の必要性を証明し、裁判所からの調査嘱託や送付嘱託という手続きをとってもらいます。
これらの調査がなにゆえに必要なのかという立証が出来れば認められます。例えば、情報商材販売モールに対してだけ訴えるのであれば裁判所は販売者やアフィリエイターの個人情報は「必要ない」と判断するかもしれません。これは個別の訴訟ごとの判断になります。

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