「ネット詐欺」騙す側、騙される側の心理学 情報詐欺の深層

2014年10月4日

■インターネット詐欺の横行と「素人詐欺師」の増加

情報商材詐欺も含めて、ネット詐欺が横行しています。まず指摘しておきたいことは、ネットでは誰でも詐欺師になれる危険性があるという点です。
一般に、生身の人間に直接対面して騙すというのは、非常に難しい。それに、騙す側にも犯罪行為だという自覚があるので、相当の覚悟があるはずです。
ところが、インターネットのようにメディアを経由することによって、騙す本人も、騙そうとする相手に対しても、抽象的な感覚になってしまう傾向が強い。つまり、騙そうとする相手が見えないので、不法行為を犯しているという実感がない。実際、オークション詐欺で検挙された人物が、後に『ゲームのような感じで人を騙してしまった』と反省する発言をしています。

人間は会話などでコミュニケーションを図る際に、相手のあらゆる要素を判断材料に活用する。例を挙げるなら、相手の年齢や容姿、服装に始まり、話し方や声の大きさ、さらに話すときの表情や間の取り方など、さまざまな要素がコミュニケーションの材料となっています。

■息子を装い 女を演じる 顔の見えない詐欺師たち

しかし、インターネットでのやり取りの場合には、そうした具体的なものがほとんどなく、ただ相手からのメールの文章くらいのもの。その文章によって相手の心を巧みにつかむことができれば、たやすく騙すことができてしまう。たとえば、小学生や専業主婦が、年収数百万円の実業家として自称することもできる。

先日、出会い系サイト業者が我が国で初めて詐欺罪の適用を受けて摘発されました。この出会い系サイトでは「サクラ」を雇って男性利用者を騙していましたが、そのサクラの多くが男性で、女性を装って客とメールのやり取りをしていました。このように、文面がよくできていれば、人はたやすく騙されてしまうわけです。

インターネット詐欺や電話を使った『オレオレ詐欺』のようなことをしている人が、それでは人に直接向かい合った場合にその相手を騙せるかというと、それはおそらく難しいのではないかと思います。
こうした『誰でも詐欺師になる可能性がある』『素人でも人を騙すことができてしまう』という傾向が、インターネット詐欺の増加の一因となっていると考えられるでしょう。現実感がないので、被害者となってしまった人が、さらに気軽に、ゲーム感覚で、さしたる抵抗もないまま加害者になってしまうわけです。

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