ASP勢力図
一般向けのASPとしては、株式会社ファンコミュニケーションズ(代表取締役 柳澤安慶氏)、株式会社インタースペース(代表取締役 河端伸一郎氏)、株式会社アドウェイズ(代表取締役 岡村陽久氏)、バリューコマース株式会社(代表取締役 ブライアン・ネルソン氏)、リンクシェア・ジャパン株式会社(代表取締役 津田圭吾氏)が大手5社である。この大手5社を中心として、30社を超えるASPが存在する。
大手5社はいずれも、PC向けアフィリエイトサービスとモバイル向けアフィリエイトサービスの両方を提供している。
その内、バリューコマース株式会社の「バリューコマース」、リンクシェア・ジャパン株式会社の「リンクシェア」は、PC向けアフィリエイトサービスとモバイル向けアフィリエイトサービスを同一サイト内で提供している。
大手5社の内、残る3社は、PC向けアフィリエイトサービスとモバイル向けアフィリエイトサービスを提供するサイトが別々になっている。
株式会社ファンコミュニケーションズはPC向けに「A8.net」を、モバイル向けに「Moba8.net」を運営する。同様に、株式会社インタースペースは「アクセストレード」(PC向け)と「アクセストレードモバイル(モバイル向け)を、株式会社アドウェイズは「JANet」(PC向け)と「Smart-C」(モバイル向け)を運営している。
PC向けアフィリエイトサービスに比べて、モバイル向けアフィリエイトサービスは手軽に始められるということもあり、急速にアフィリエイター数を拡大した。また、市場が成熟期に入りつつあるPC向けアフィリエイトサービスに対して、モバイル向けアフィリエイトサービスは成長期であるため、ASP各社が報酬単価を引き上げてアフィリエイターの獲得を競っている。
比較的高額な報酬単価にひかれて、モバイル向けアフィリエイトサービスを始めるアフィリエイターが増えている。
モバイル向けアフィリエイトサービスについては、モバイル専門で展開している中小ASPも多数存在するが、株式会社ディー・エヌ・エー(代表取締役 南場智子氏)が運営する「ポケットアフィリエイト」の存在感が強い。同サービスはモバオク、モバゲーの成長に牽引されながら売上を伸ばし、アドウェイズの「smart-C」と熾烈な首位争いを繰り広げている。
2006年頃までは、ASPの売上の大半はPC向けアフィリエイトサービスからだった。しかし、モバイルユーザーが増加するにつれて、モバイル向けアフィリエイトサービスからの売上が急増。現在は、モバイル向けアフィリエイトサービスからの売上が大半を占めるようになったASPも珍しくない。
一方、専業ASPだけでなく、ECサイトが独自に運営するアフィリエイトサービスもある。
アマゾンジャパン株式会社(代表取締役 ジャスパー・チャン氏)の「Amazonアソシエイト」、ケンコーコム株式会社(代表取締役 後藤玄利氏)の「ケンコーコムアフィリエイト」などだ。
また、テレビ通販のショップジャパンは、バリューコマースやA8など大手ASPと結んでいる通常のアフィリエイトプログラムのオプションとして、商品のレビュー記事を作成したアフィリエイターの報酬単価を上げたり、アフィリエイターに対して商品の格安販売を行うなど、質の高いアフィリエイターを取り込む施策を積極的に打ち出している。
アダルト専門のASPとしては、海外に拠点を持つDTI Services, Inc.の「DTIアフィリエイト」が業界トップとして有名。「カリビアンコム」などの有名無修正サイトを50件以上、大手のライブチャットサイト6件がDTIに参加しており、アダルトサイトを一通り網羅している形だ。その周辺に、「APEX」「サイバーアド」「グローバルキャッシュ」「メディアプラネッツ」「サインボードショップ」「ビデオアド」などのASPが乱立。
アダルト専業ではないが、「FC2アフィリエイト」はアダルトの扱いが過半にのぼる。また、動画系ASPとは別に、出会い系サイトが独自に運営しているアフィリエイトプログラムも存在し、「ワクワクメール」「ハッピーメール」が2強を占めている。
一方、提携広告主の商品販売に直接関わらない大手ASPと、ECサイト独自運営のアフィリエイトサービスのどちらにも分類できないのが、最近、詐欺的な悪質商法として国民生活センターが注意を呼び掛けている「業界の困った存在」「一緒にされたくない」(大手アフィリエイトASP幹部)情報商材ASPである。
情報商材ASPは商品である情報商材コンテンツを情報商材制作者業者(「インフォプレナー」)から預かって自社のサーバーで管理し、客の受注、商品であるコンテンツの引き渡し、代金の回収までを一貫して行っていることから、情報商材ASP自体が販売者としての性格を持つ。つまり、アフィリエイト広告主の情報商材制作業者と情報商材ASPの共同販売といえるだろう。
情報商材ASPは広告代理店とECサイト両者の性格を持ち合わせているユニークな形態だ。
ギャンブル・アダルト・男女交際・医療・美容情報商材で首位の株式会社インフォトップの「infotop」、投資情報商材に力を入れるインフォカート株式会社の「INFOCART」、金儲け・内職関係の情報商材に特化する株式会社インフォスタイルジャパンの「infostyle」、株式会社インフォスタイルの「infostyle2.0」などがある。
このように、大きく発展するASP業界は、多種多様なプレーヤーによって構成されるようになっている。