気になる商品やサービスを、ネットで調べたことはあるだろうか。懇切丁寧に解説してくれるブログがいくつも検索にヒットするはずだが、これはブログ主のボランティア作業ではなく、アフィリエイト報酬のためのれっきとしたお仕事。商品の解説を読んだユーザーが購入を決意すれば、商品の販売元からお金がもらえるという仕組みなのである。ブログ主は有益な情報を提供し、それをもとに消費者は商品を購入する。そして販売元は、ブログ主にお礼を支払う。広告の費用対効果がシビアに査定されるようになった昨今、アフィリエイトは皆が喜ぶ理想的な広告モデルと言える。しかし一方では、悪意のアフィリエイターによる誇大広告が横行し、著しく悪いイメージを持たれているのも事実である。
本稿では、アフィリエイト広告の利点はもとより、構造的に抱える問題についても解明し、この業界の真価と可能性を探る。
アフィリエイト業界の仕組みはこうなっている
アフィリエイトの将来と展望
アフィリエイト市場規模と可能性
アフィリエイトの市場規模は、その誕生以来、拡大を続けている。
NTTデータ経営研究所の調査によれば、ブログなどの運営者の内、34.6%がアフィリエイトプログラムに参加した経験を持っている。また、アフィリエイトを活用している大手ECサイトの中には、アフィリエイト経由の売上が30〜40%になるところもあるという。
世界金融危機で広告業界が不況に陥る中、インターネット広告分野だけは業績が堅調だった。特に、アフィリエイト広告分野は、広告費のコストパフォーマンスを考えるスポンサーから好感され、業績を伸ばしている。
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アフィリエイトの現状
ASP勢力図
一般向けのASPとしては、株式会社ファンコミュニケーションズ(代表取締役 柳澤安慶氏)、株式会社インタースペース(代表取締役 河端伸一郎氏)、株式会社アドウェイズ(代表取締役 岡村陽久氏)、バリューコマース株式会社(代表取締役 ブライアン・ネルソン氏)、リンクシェア・ジャパン株式会社(代表取締役 津田圭吾氏)が大手5社である。この大手5社を中心として、30社を超えるASPが存在する。
大手5社はいずれも、PC向けアフィリエイトサービスとモバイル向けアフィリエイトサービスの両方を提供している。
その内、バリューコマース株式会社の「バリューコマース」、リンクシェア・ジャパン株式会社の「リンクシェア」は、PC向けアフィリエイトサービスとモバイル向けアフィリエイトサービスを同一サイト内で提供している。
大手5社の内、残る3社は、PC向けアフィリエイトサービスとモバイル向けアフィリエイトサービスを提供するサイトが別々になっている。
株式会社ファンコミュニケーションズはPC向けに「A8.net」を、モバイル向けに「Moba8.net」を運営する。同様に、株式会社インタースペースは「アクセストレード」(PC向け)と「アクセストレードモバイル(モバイル向け)を、株式会社アドウェイズは「JANet」(PC向け)と「Smart-C」(モバイル向け)を運営している。
PC向けアフィリエイトサービスに比べて、モバイル向けアフィリエイトサービスは手軽に始められるということもあり、急速にアフィリエイター数を拡大した。また、市場が成熟期に入りつつあるPC向けアフィリエイトサービスに対して、モバイル向けアフィリエイトサービスは成長期であるため、ASP各社が報酬単価を引き上げてアフィリエイターの獲得を競っている。
比較的高額な報酬単価にひかれて、モバイル向けアフィリエイトサービスを始めるアフィリエイターが増えている。
アフィリエイトの基礎知識
アフィリエイトとは?
アフィリエイトとは、広告を出稿したい企業(ECサイト)と、自分のサイトに広告を掲載したいホームページ運営者が提携する仕組みのことを言う。
ただし、両者が直接、契約を結んだり、出稿データや報酬のやり取りをするのは煩雑である。そこで、アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)と呼ばれる仲介業者を通すことが主流となっている。
広告仲介業者ではあるが、広告代理店と違って、ASPでは成果報酬型の契約がメインである。そのため、ASPは「在庫を持たない商社」であり、広告を掲載するホームページ運営者は「フリー契約の営業マン」と、たとえることもできる。
なお、アフィリエイトの世界では、広告を出稿する企業を「スポンサー」もしくは「広告主」「マーチャント」、広告を掲載する運営者を「アフィリエイター」もしくは「パートナー」「AS会員」などと表現する。また、スポンサーがアフィリエイターに提供する広告のことは、「アフィリエイトプログラム」と呼ばれている。