不当な広告表示に対する法規制の現状

2014年3月10日

 eコマースにおける広告表示に関する規制は、商品分野を問わない包括的な規制と、特定の商品分野ごとの個別的な規制に大別できる。前者の代表例が景品表示法(リンク:PDF)特定商取引法(正式名称は特定商取引に関する法律)であり、後者に該当するものは多数存在するが、その一例は薬事法や、食品衛生法家庭用品品質表示法である。
景品表示法や特定商取引法を含め表示規制の多くが2009年に新設された消費者庁に移管された。以下では特定の商品分野へ偏らず、包括的な規制を中心に話を進めていきたい。

騙し広告を規制する景品表示法

企業活動の番人、公正取引委員会。消費者庁設置に伴い業務の大半を移管され、現在は主に独占禁止法の運用を担当。

 景品表示法は、公正かつ自由な競争を確保する観点から消費者の適正な選択を妨げる過大な景品類の提供行為と不当な表示行為を規制している。
このうち不当表示として規制されるものは、事実に相違して著しく優良であると一般消費者に対して示す表示であり、具体的には、①商品の効能の誇大広告のような「品質、規格その他の内容」や、②当店通常価格の○○%引き△△円といった販売実体がないのになされる二重価格表示のような「価格その他の取引条件」、③不動産のおとり広告など「一般消費者に誤認されるおそれがある表示」のうちで「内閣総理大臣が指定するもの」が当たる(法4条1〜3号)。
そして違反やそのおそれのある行為を行った事業者に対しては、消費者庁長官や都道府県知事が排除命令や指示、警告、文書・口頭による注意といった処分を行い、排除命令と警告の多くについては公表される。

 なお景品表示法では、事業者サイドが景品・表示活動について自主規制を行う公正競争規約の制度が設けられている(法11条)。
これは国が、各業界によって自主的に定められた公正競争規約を認定することで、当該規約に基づいた事業者の行為には事実上景品表示法違反の摘発を行わず、独占禁止法が禁ずる違法カルテルにも当たらないとする一種のお墨付きを与えるものである。

カテゴリー:電子商取引 |