不当な広告表示に対する法規制の現状

2014年3月10日

ビジネスのスタイルを規制する特定商取引法

 特定商取引法は、訪問販売・eコマースを含む通信販売・電話勧誘販売などの特定商取引の公正と購入者の損害防止を図るための規定であり、違反行為に対しては指示や業務停止命令のほか、内容によっては罰金や懲役刑が科されることもある。
eコマースの広告表示は通信販売に関する規制対象となるが、具体的には、売主の氏名・住所等の一定の表示掲載義務(法11条)、誇大広告等の禁止(法12条)、未承諾者に対する電子メール広告の禁止(法12条の3)である。

景品表示法と特定商取引法における規制強化傾向

 両法律とも表示規制に関しては規制強化の傾向にある。その一つが景品表示法の2003年改正である。
これは、「品質、規格その他の内容」については表示の裏付けとなる合理的な根拠の存在についての立証責任が、行政側ではなく当該表示を行った事業者側に課せられるという証明責任の転換規定であり(景品表示法4条2項)、合理的根拠をもって実証できない広告を不当表示とみなす規定である。同種の立証責任の転換規定は、誇大広告等を禁止する特定商取引法12条の2にも設けられている。

 特定商取引法では2008年改正で、従来の指定商品に対する規制に代わり、限定列挙された例外を除いてあらゆる商品分野に規制対象が広がった。
同時に、事業者が返品特約を明示しない場合の返品受忍義務、広告メールに関するオプトイン規制といわれる消費者の事前承諾を要求する規定も設けられた。

 さらに同年の改正では、景品表示法と特定商取引法に、消費者契約法に定める消費者団体訴訟制度が認められた。行政処分を中心とする同法の規制に、消費者団体による差止請求を認めたことは規制強化傾向のあらわれであるということができる。

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