不当な広告表示の典型例

2014年2月24日

 広告表示が不当であるとして景品表示法(正式名称は不当景品類及び不当表示防止法)違反に問われた事案は、消費者庁(2009年8月までの情報は公正取引委員会)のウェブサイトに掲載されるし、それ以外でもトラブルが頻発している事案の多くは国民生活センターのウェブサイトに掲載される。以下ではそうした事案を踏まえたうえで、形のあるモノと、無形の情報やサービスとに分けてeコマースでの不当表示の典型例を紹介する。

モノの販売における不当表示例

美容通販大手DHCの販売サイト。テレビCMの動画を配信するなど、クロスメディアを意識した凝ったつくり。

 筆者は2006、07年の2年間、東京都が都内の大学と協力して行った食品や生活用品など物販のeコマースにおける不当表示の収集調査に協力した。その調査で学生調査員が不当表示の疑いありと指摘した事案の特徴は以下のとおりである。

 第一は商品分野について、食品・非食品を問わず、痩身・ダイエットなど美容や健康に関する商品が多かった。この理由としては、消費者がコンプレックスや不安を持ちやすい商品分野であるために、表示内容についての判断力が鈍る、言い換えると販売事業者にとっては誇大広告で商品購入に至らせることが容易な商品群だからであると考えられる。

 第二は広告表現について、「通常価格○円より△%値引き」といった根拠が疑わしい二重価格表示、巨大なフォントや「〜するだけで」「世界最大」「○個限定」といった単純な誇大表現が多いほか、医師や研究機関の推奨があるとの表示や、当該商品利用者の感想が表示されているものが多かった。
これらの理由としては、インターネット上で類似商品を扱う多数のライバル事業者との競争上、目立たせる必要があること、商品自体の知名度や信頼性が高くないために、真偽のほどは別として権威ある第三者やユーザーのクチコミを掲載して商品の信頼性向上を意図していることが考えられる。

サントリーウェルネス社は、サントリーの健康食品事業部が母体。それゆえなのか、販売サイトの煽りは控えめ。

 第三は販売価格に関して、数千円程度以下とあまり高価でない商品が大半であった。この理由は、商品購入者が利用後に広告表示通りの効果がないと感じた場合でもトラブルを顕在化させずに泣き寝入りをする程度の価格帯だからであると考えられる。

 実際に平成20年度に景品表示法違反となった事案でも、科学的根拠があるかのようなシャンピニオンエキスと称する身体の消臭をうたう食品(リンク:PDF)や、ゲルマニウム効果をうたう枕、産地を偽ったキャビア(リンク:PDF)などが摘発されており、東京都の調査と同様の傾向がみられている。

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