不当な広告表示の典型例

2014年2月24日

多数のプレイヤーが関与する複雑な売買契約

 eコマースでは、異なる販売事業者でありながら同じ商品で全く同一の広告表示事例が散見される。これは他の販売事業者の広告を安易にコピーしている場合のほか、製造業者や輸入業者が作成した広告表示をそのまま利用していることが多いからだと考えられる。
しかし、不当表示として摘発されてしまった場合、広告を作成したのは自分ではないとか、虚偽とは知らずに表示してしまったという言い訳は通用しない。
広告を表示して販売を行う以上、事業者にはその内容についての責任が常について回るのである。

 もっとも、ここでは売買契約の関与者は売主と買主に限定されない。ネットショッピングモールやアフィリエイト広告を掲載するアフィリエイターなども売買契約に深く関与している事例が多く、これが問題を複雑化させている。
しかし法律上は、売買契約のトラブルは当事者間で解決することが原則であるから、こうした関与者に責任追及をすることは容易ではない。
たとえばネットショッピングモールに出店している事業者の誇大広告に惑わされて商品を購入した場合でも、モールは売主ではなく場を提供しているだけであるから、広告表示に責任を負うものではない。したがって、一部の例外的な業態やモールが問題商品を特別に奨めていた場合などを除き、消費者がモールに責任追及をすることは法律上は容易ではないのである。

 また、必ず儲かると騙されてウェブサイトの作成費などを支払ってしまった消費者は、二次被害を起こさないことを注意したい。
儲けを出すために誇大なアフィリエイト広告やドロップシッピング販売をしてしまって、あとから購入者に責任追及されたり、景品表示法違反で行政処分を受けたりする恐れもある。騙されたと思っていた当人が、実は同時に他の消費者を騙していた・・・。このようなマルチ性には十分に注意する必要がある。

【アフィリエイトの仕組み】

商品やサービスを提供する企業がアフィリエイト広告を打つ場合、アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)に広告依頼を行う。ASPに登録しているアフィリエイターは、自己のブログなどにアフィリエイトリンクを貼り付け、商品レビューを行い、ブログ訪問者の購買を煽る。これを見た訪問者が、広告主のサイトで商品購入に至れば、ASP経由でアフィリエイターに商品価格の数%が報酬として支払われる。

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