不当な広告表示の典型例

2014年2月24日

法規制の必要性 〜悪貨が良貨を駆逐する

 こうしたトラブルを減らすには法規制が有効だと考えられるが、規制強化は企業活動を不当に委縮させるとか、コンプライアンス対応は追加的な費用負担を要するから官製不況・コンプライアンス不況を招きかねないといった批判も考えられる。
それではなぜ、このような規制が必要なのか?

 近年頻発した偽装表示事件のように、市場を通じた企業の自由な経済活動にゆだねていた場合に生じるトラブルや非効率のことを「市場の失敗」というが、これを解消するために有効な対策の一つが法規制である。
とくに、参入障壁が低く取引される商品に関する情報が売主に偏っている市場では、買主は品質を判断する材料に乏しいために高品質に見合う支払いを行わず、高品質の商品を扱う売主が市場から退出する一方で低品質の商品を扱う売主のみが増加して市場の信頼性が低下し、最終的には市場自体が消滅してしまうという「レモンの市場問題」が指摘されることがある。
広告表示に頼らざるを得ず、参入・退出が容易なeコマースはそうしたケースに該当する面がある。悪貨が良貨を駆逐しないためにも法規制は不可欠なのである。

 それでは、どのような法規制があり、事業者は何に気をつけるべきなのか? あるいは法規制を回避するために事業者自身としての対応策はないのだろうか? 次章はeコマースにおける広告表示の規制の現状について考えていく。

カテゴリー:電子商取引 |