不当な広告表示に対する法規制の現状

2014年3月10日

ガイドラインと行政処分から窺う法規制の運用・執行状況

 こうした法制度に基づき、行政はeコマース事業者に対して以下のような指導監督をおこなっている。

 第一にeコマースに関するガイドラインについて、景品表示法に関しては2002年に「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」(リンク:PDF)というガイドラインが公表された。
ここではハイパーリンクの適正な使用方法や、情報の更新日の明示、デジタルコンテンツに関するダウンロードの動作環境の明示などが求められている。ただしeコマース市場の成長やインターネット広告の多様化と比較すると、ガイドラインはやや古く内容も充実しているとは言い難い。

 一方、特定商取引法に関しては法改正に応じて、返品特約や電子メール広告のオプトイン規制に関するガイドラインが公表されている。また複数の法制度に関わるガイドラインとして、経済産業省が「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(リンク:PDF)を随時更新しており、現在は2008年が最新版となっている。
こうしたガイドラインはあくまでも行政による指針であるから、法律とは異なり裁判時に司法判断を拘束するものではないが、企業活動に対する実務上の影響力は大きい。

 第二に行政処分のうち景品表示法違反では、最新の平成20年度の結果(消費者庁への移管前なので公正取引委員会が公表)によると、52件の排除命令が発せられており、数年前と比較して増加傾向にある。
このうちインターネット上の広告表示に関わる排除命令は、筆者のカウントによると23件で、排除命令全体に占めるインターネット関連の不当表示事案の割合は近年増加傾向にある。

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