消費者向け電子商取引の現状と広告表示の問題点

2014年2月10日

BtoC取引において、消費者にとっては広告表示が全てであり、事業者には対面取引以上の規範意識が求められる。しかし実態はどうか? ネットビジネス事業者の多くがおよそ正反対の行動原理で商行為を行っている。ここではどのような規制が有効なのだろうか。

序論〜法規制と自主規制の両面から考える〜

 生鮮食品の産地偽装や老舗和菓子店の消費期限の改ざんなど偽装表示事件が頻発し、このことが消費者庁新設の一因になったことは記憶に新しい。このような不当表示問題は短期的な売上低下だけでなく、失われた信頼回復という点では企業に長期的なダメージを与える。
とりわけ商品の現物を確認できず、広告表示を頼りにせざるを得ない消費者向け電子商取引(以下本文ではeコマースと略す)では、不当表示問題の続発がeコマース市場全体の信頼性を低下させかねずその影響は極めて大きい。
逆に言うと、不当表示で消費者をだますごく一部の悪質事業者を排除できれば、大多数の優良事業者のビジネスチャンスを増加させ、市場のさらなる拡大が期待できる可能性が高い。

 そのためにはeコマースの広告表示について何らかの規制が必要なことは言うまでもない。しかし政府による法規制は、自由な企業活動を制約し、広告表現の制約につながるおそれがあるし、新たな広告手法が次々に登場するeコマースに十分な対応をできないおそれもある。
そうした観点からは、CSR(企業の社会的責任)ということばが市民権を得た今日、むしろ事業者サイドが法規制を超えた自主的取り組みをする方がふさわしいとも考えられる。

そこで本稿では、eコマースにおける広告表示の問題点とその解決策を、法規制のあり方と事業者の自主的取り組みの方向性という観点から考えていく。

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