教育現場からネット企業への苦言提言 子どもの心身と財布を狙い撃つインターネットコンテンツ 押し寄せる「情報公害」から我が子を守るために

2014年7月27日

子どもの生活習慣を蝕む「情報公害」

依存大群 一日30通以上メール送受信(718人)
依存小群 一日30通以内メール送受信(2197人)
不所持群 携帯不所持(1682人)
調査対象 近畿地方の中学生4597人
調査時期 平成20年5月〜12月

(竹内和雄「『先生、ケータイ取り上げて!』―携帯依存の寂しい心に大人ができること」、『月刊学校教育相談』2009年6月号より)

 こうした事件・トラブルに加え、「情報公害」には子どもの生活習慣の乱れにつながるという問題がある。

 現代の子どもは、幼い頃からテレビ、ビデオ・DVD、ゲーム機等の電子メディアに長時間接触し、年齢が上がればPCや携帯電話の利用時間が増える。こうしたメディア接触は、家族とのコミュニケーション、勉強、身体を使う遊びやスポーツ、睡眠といった他の時間を奪い、近視や肥満の原因となったり、体力やコミュニケーションを高める機会を少なくさせたりして、心身の健康に悪影響を及ぼす。
特に、携帯電話を持つようになると、メールに数分以内に返信をするとか、毎日自分や友人のプロフやブログを見て書き込みをするといったことによって、携帯電話に依存した生活に陥る者が多くなっている。携帯電話に依存している者ほど、心身の健康や生活習慣の状況が悪いことを示すデータもある。

 また、オンラインゲームへの依存も問題である。海外ではPCから利用するオンラインゲームに夢中になった者が、学業や仕事ができず部屋にひきこもってしまうことが深刻な問題となっており、日本でも「ネトゲ廃人」などと言われ、問題が起き始めている。
 子どもが健全に育つには、規則正しい生活をし、勉強や運動や多様な人々とのコミュニケーションといったことをバランスよく経験していくことが必要である。ところが、地域社会の状況が変わり、子どもが外で遊ぶことが減ったり夜更かしが増えたりして、1970年代から徐々に、子どもにとって望ましい環境の確保が難しくなっていた。「情報公害」は、こうした子どもの環境の悪化に拍車をかけてしまっている。

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