バストアップなら蓮水カノンの1日7秒裏技バストアップ術

問題事例4 豊胸篇

オフィシャルサイトなどとの連動で信憑性を高めるも
あまりの医学知識の欠如にあえなく撃沈

検証した情報商材

販売モール 株式会社インフォトップ(代表取締役 田中保彦)
制作業者 株式会社きれい (代表取締役 小島宏之)
運営統括
責任者
鏑木大介
筆者 蓮水カノン
所在地 東京都千代田区神田須田町2-2-5
須田町藤和ビル6F
電話 03-5295-5701
E-Mail bustup@ bustup7.com
価格 ¥31,000
URL http://www.bustup7.com/it/index_up.html
情報商材
『蓮水カノンという人物が、1日7秒あることをするだけのバストアップ法に気付いた』

サイトの宣伝文句にモノ申す!

腐っているのに臭わない

(ん? ん〜〜〜????) ない、どこにもない。
 販売サイトの中に、医学的かどうかによらず、検証・解析つっこめる ポイントポイントが全く見当たらないのだ。
 では、サイトの内容はというと、

『テレビや雑誌などのマスメディアに取り上げられた』という冒頭でのアピール。
 間髪入れず『個人的な“そうしたケースもあるかもしれない”体験談』の乱れ撃ち。
唐突に、『1099人を最低2カップアップさせた!』と宣言。
それに続く『でも実は私も悩み、試行錯誤した』という回想。
『その甲斐あって、あることに気付いた私。1ヵ月後には、あっという間に2カップアップ!』

 まさに悪徳商材販売の典型的なパターン。しかし…、

 臭いがしないのだ。

 これまで検証してきた販売サイトに共通する、
「ねぇ聞いて聞いて! 私、スンゴイんだから! コレ、もう! 最高よっ!」的な、
あからさまに度が過ぎたアピールがない。

 流れは同じだが、流れ方は淡々と。そして、その中に、

『1099人のバストをアップさせた!』
『1日たった7秒で!』

 という2つのアピールポイントが、それぞれ各6回にもわたり、目立つ見出しにドーン! あるいは本文中の一文にサラッと、など緩急自在に、サブリミナル効果のように散りばめられている。

(信憑性を高めるための戦略? それとも、この商材は……マジでアリ?)

 その答えは以下の検証で明らかになる。

商品(情報商材)を医学的に検証してみた

 全6章から構成される情報商材本編が232ページ。さらに『愛され美バストの創り方』と題されたおまけが44ページ。合計276ページは、これまで検証してきた商材の中で最も長い。

医学的見解から始まる「崩壊への序曲」

 第1章54ページ。『美バストを創るための秘密。』と題されたこのページから、医学的な単語を含んだ文章が現れる。

 と同時に、蓮水氏のバストアップ術の破綻も始まった。

 同ページ内にある『きゅっと上がったバストを維持してくれるのは「バストアップじん帯」です』という一文、さらに55ページの『超!簡単。バストの構造』では『じん帯が乳腺を支えている』との表現がある。この点について、日大板橋病院乳腺内分泌外科の小関淳先生はこう話す。
「確かに乳房には“クーパーじん帯”というじん帯があり、それが乳腺を引っ張る形で支えています。ただ……ここの表現は明らかに変ですね」
 指摘したのは57ページの『垂れバストの原因』内にある次の文言について。

『垂れバストには上部のふくらみがありません。それは乳腺を支えるじん帯がたるんでたわんでしまっているから。じん帯が伸びきって張りがなくなっています。、』(原文まま引用)

「これまで臨床の現場で患者さんに接し、学会の発表や過去の論文にも目を通してきましたが、“クーパーじん帯がたるむ、もしくは伸び切る”という症例は見たことがありませんし、まず考えられない状態です」(小関先生)

あまりにあっけない終幕

 続く第1章72ページから始まる『お風呂7秒。美バスト・マッサージ』。これについては販売サイトはもちろん、商材の中でも再三にわたり記述がなされていることから、蓮水氏のバストアップ術における最重要ポイントと言っていいだろう。

『お風呂で温めた手のひらで、ただ、優しく触れるだけ。そう、優しくバストに触れるだけ。もちろん、ちょっぴり こつがあります』(13ページ)
『流れないバストは、1日たった7秒でできます。(中略)その方法はとっても簡単でシンプル。お風呂でバストを撫でるだけ。』(17ページ)
『蓮水式のバストアップ法は、お風呂で7秒 マッサージするだけなんだよ。』(71ページ)
(以上、原文まま引用)

 さて、そのやり方だが、10ページにわたって紹介されているその方法は簡潔に言うと『バストを下から持ち上げ、横から引き寄せる。この寄せて上げてを7回行う』というもの。

 これで『バスト上部のじん帯に張りを創ります』(本文まま引用)とのことだ。

 なるほど。1回1秒で7秒ジャスト。確かに簡単でシンプルだ。思わず、“医学的見地からの検証”という立場を忘れ、「そんだけかよ!?」と言いたくなるほどに!

「これ、無理ですよ」

 ここで、少々イラッときていた筆者を冷ますに十分な、小関先生からのクールな一言。

「じん帯という組織は筋肉と違って、体のどの部分であっても鍛えることはできません。先ほどの話で、仮にクーパーじん帯が伸び切るようなことが起こったとしても、それをこのマッサージだけで引き締めるのは医学的に絶対不可能です」(小関先生)

 まだ第1章すら終わっていない段階で、蓮水氏のバストアップ術はあっけなく崩れ落ちた。

医学的な内容は「ほぼ完全に不完全」

 販売サイトと違い、商材中には医学的に検証できそうな文章が数える程度存在した。 そのほとんどが“筆者の目にも明らかな間違いもしくは意味不明な内容”。

筆者「94ページの『脂肪のほとんどは水』という表記なんですが、これって変ですよね?」
小関「そうですね。脂肪組織なら分かりますが…脂肪は脂ですからね」

筆者「120ページの『乳腺っていうのはすぐ固まってしまう』という表記なんですが、これは、どういう意味だと思われますか?」
小関「・・・ん〜〜、固まる? そんなことないですし…どういう意味なんでしょう?」

筆者「『バストが小さい人は、筋肉の緊張で冷えて、毛細血管が足りない状態です』という131ページの表記なんですが…これって、どういう意味だと思われますか?」
小関「・・・? どういう意味なんでしょうね? 緊張? 冷えて? 足りない?」

筆者「『血行不良が原因で乳腺症になる』といった表記が120ページに、これは、その…」
小関「それはないですね。乳腺症はホルモンバランスが崩れることで起きますから」

(こんなことをわざわざ聞くために、貴重なお時間をいただいてしまって……!)

 これほどいたたまれない気持ちにさせられた取材は、生まれて初めてだ。

販売サイトの表記と商品の整合性を検証すると……

『BカップがFカップになった秘密のバストアップ法』
『バストの理想位置の保ち方』
『ブラジャーがいらないバスト』
『寝ても流れないバストの作り方』

明確な該当箇所はなし。商材全体を通して次々と出てくる関連付けが曖昧な手法を総合した内容と判断するのが適切と思われる。
強いてあげれば、先述した“医学的に不可能なじん帯を引き締めることを意図”した『美バスト・マッサージ』が相当すると思われる。
また、商材中で別途紹介されている『美バスト・デコルテ 7秒エクササイズ』なるものも関係していると判断される。このエクササイズだが、やり方を要約すると『肩を上げ、あごを引いて、ひじを後ろに引く』という、結果的に『胸を張った姿勢』をとるというもの。エクササイズ前後の写真には、猫背の状態と背筋を伸ばした状態の写真が並んでいた。
確かにバストアップしている。というか、人間の体の仕組みとして、そうならざるを得ない。
言うまでもないが、このエクササイズがバストアップに働くという臨床医学的な根拠はない。

『7秒簡単バストアップの方法』

先述した“医学的に不可能なじん帯を引き締めることを意図したマッサージ”が相当すると思われる。また、商材中で別途紹介されている『美バスト・デコルテ 7秒エクササイズ』なるものも関係していると判断される

『さらに今すぐ!即効バストアップ』

先述した、臨床医学的に根拠のない『美バスト・デコルテ 7秒エクササイズ』が相当。

『理想のまん丸バストの作り方』

123ページから6ページにおよぶ『美バスト・マッサージ・アドバンス:形ケア』というマッサージ法が該当すると思われる。臨床医学的な根拠はない。

『どうしてたった7秒で効果があるの?』

『美バスト・マッサージ』のやり方紹介の直後、79ページに『アイソメトリクスという筋力トレーニング法があり、研究の結果、7秒やれば十分だから』といった内容が書かれている。
このこと自体は間違っていない。筆者は以前、このトレーニング法に詳しい中京大学の湯浅教授を取材したが、そうした話は確かにうかがった。
だが、そもそも『美バスト・マッサージ』が全くアイソメトリクス・トレーニングの理論に従っていない。効果うんぬんの話をすること自体が無意味。

『筋トレなんて意味がない!』

『筋トレはバストアップには逆効果』というサイトの文言に対し、『上級者のための』と銘打ってはあるものの、177ページから13ページを割いて紹介されている『バストアップ筋を育てるトレーニング』。矛盾の一言。

『たれバストの原因』
『美バストにあって垂れバストにないもの』

販売サイトの文章『さがったバストは、バストを引き上げる何かが足りないから。その何かとは? そしてふっくらバストを創るのは○○です』(原文まま引用)の足りない何かは『じん帯の張り』だと思われるが、そのあとの○○は? ここに『じん帯』という言葉を使うと…かなり国語力の低い人間になってしまう。じゃあ『美バスト・マッサージ』? 長いし。

総論

この商品(商材)は、

他の情報商材のようにガツガツしたトーンのないつくりの販売サイト、著書の存在、マスコミへの露出度、オフィシャルサイトに自身のサロンの連絡先を掲載など、閲覧者を思考停止に陥らせる仕掛けが満載で、販売戦略的にはかなり手が込んでいる、

が、

内容的には、マッサージやエクササイズの方法、美バスト・レベルと称する基準、食事ケアなど、臨床医学的に再現性のない持論の域を出ない仮説と、人体の仕組みを無視した、現代医学から見て明らかな誤りを提供するもの

と結論づけられる。

検証に協力頂いた専門医
小関 淳
日本大学板橋病院乳腺内分泌外科

’04年日本大学医学部卒後、日本大学板橋病院乳腺内分泌外科に勤務。’10年に日本大学大学院医学研究科博士課程を修了。現在は日本大学板橋病院乳腺内分泌外科および本庄総合病院外科に勤務するとともに、毎週月曜午後、横浜の「女性医療クリニックLUNA」にて乳腺外来を担当。専門分野:乳腺一般 内分泌一般。得意とする治療:乳癌治療、 副甲状腺治療。主な研究著書名:生化学一般。疾病認定医:マンモグラフィ読影医(B)。

小関先生が語る「乳房のメカニズムから見た豊胸の可能性」

 乳房は胸筋の上に位置しています。つまり胸筋を鍛えることで胸板が厚くなれば、もちろん程度の差はあるでしょうが、理論的に乳房はより前面に出ると考えられます。
 また母乳をつくる組織の乳腺は、女性では10〜12歳になると女性ホルモンの分泌が高まることで発達していきますが、これまでの臨床の経験からいえば、乳房の大きさは乳腺の大きさというより、脂肪などの皮下組織の量によるほうが大きいのではと感じています。

取材・文 岩井浩(医療ジャーナリスト)

<本サイトにおける用語について>

情報商材(情報教材)は、その名称がマスコミ報道や国民生活センターなどの注意喚起によって詐欺的な問題商法として周知されたのを受け、関係事業者はダウンロード販売、インターネット出版、オンライン出版、オンライン教材、オンライン通販、電子書籍、電子出版、ebook(イーブック)、情報販売、情報起業 等の呼称に変更していますが、当サイトでは、用語を「情報商材」に統一いたします。

また、情報商材を制作している者は、販売者でもありますが、情報商材販売モールが実際の販売実務の中心を担っているため、本サイトでは、敢えて販売者とはせず、情報商材制作業者と表記いたしました。また、情報商材業界では、情報商材制作業者のことを「インフォプレナー」と通称しますが、一般的ではないので、本サイトでは用語として使用していません。

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