第二回 株式会社ファンコミュニケーションズ 代表取締役 柳澤安慶氏

2014年8月12日

柳澤安慶(やなぎさわ やすよし)
1964年長野県佐久市生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告代理店に就職。その後、インターネットプロバイダーを経て、1999年にファンコミュニケーションズを設立、代表取締役に就任。アフィリエイト型広告の先駆者として、同社にてアフィリエイトサービスを運営するだけでなく、自社メディアも展開し、2005年にはジャスダックに上場。利用者にメディアとして活躍の場を提供するブログサービスなども行っている。
主な共著書に「インターネットにお店を持つ方法」(翔泳社,1995)「すぐできるインターネット投資術」(光文社,1998)「インターネットバリューチェーンマーケティング」(SCC,1998)、「アフィリエイトマーケティング」(東洋経済,2000)、「まるごと図解最新ネット&ケータイ広告がわかる」(技術評論社,2001)などがある。

聞き手
株式会社ファーストアーキテクト
取締役会長 須加力(すか ちから)
1970年 桐蔭学園工業高専学校電気工学科卒業
日本IBM株式会社、横河ヒューレット・パッカード株式会社、日本タンデムコンピューターズ株式会社を経て、日本ストラタスコンピュータ株式会社システム本部長、株式会社AT&Tソフトウエアジャパン ネットワーク推進部長、フューチャーシステムコンサルティング株式会社コンサルテーション部長を歴任。
2004年8月株式会社ファーストアーキテクトを設立、代表取締役社長に就任。2007年7月より現職。著書に「Webアプリケーションサーバー完全構築ガイド」(日経BP社、2000年)、「誰でもわかるセキュリティ設計」(共著=日経BP社、2003年)
文・構成 杉原光徳
撮影 ITビジネスジャーナル編集部

須加力 まず、御社のビジネス展開状況をお聞かせください。

柳澤安慶氏(以下、敬称略) 当社の2009年12月期の売り上げは約80億円で、過去最高を記録しました。また営業利益、経常利益、純利益も売り上げと同様に過去最高の数値になりました。この売り上げの95%はアフィリエイト広告サービスで占めています。アフィリエイト広告サービスでは、PC向けのアフィリエイトとして「A8.net(エーハチネット)」を、モバイル向けアフィリエイトサービスとして「Moba8.net(モバハチネット)」を運営しており、売り上げ比率は直近で7:3程度です。モバイルの広告市場が注目されておりますが、当社においても、現在、モバイルアフィリエイトの売り上げが急速に伸びており、今後もその流れは続くと考えています。
そして、売り上げの残り5%は自社サイトの運営による広告収入と他社サイトへの広告取り扱いになります。自社運営サイトの広告収入は、自社で配信しているアフィリエイト広告からの成果報酬が中心です。また自社運営サイトはモバイル向けサイトがメインになっており、例えば、インターネット上における試供品情報を集めたサイトを運営しエンドユーザにその情報をお届けするなどといった、コンシューマー向けの情報サイトを多数展開しています。

須加 アフィリエイト事業が堅調に推移していますが、この傾向は将来も続くものでしょうか

柳澤 そのとおりだと考えます。それはアフィリエイトサービスの仕組みが広告主にとって安全な仕組みであり理想的な形態であるからです。ネット広告も含め従来型のすべての広告において、メディアが設定した広告料金を支払わない限り、企業はプロモーションすることができません。しかしアフィリエイトでは、企業が成果報酬型でプロモーションを展開でき、その成果報酬の発生する地点と報酬金額を自らが決定できるため、従来の広告のように出稿前に期待していた広告結果が出ないリスクをかぶる必要がありません。また、メスメディアや大手サイトへの出稿単価は高額なため出稿できずにいる小規模事業主でも、アフィリエイトなら問題なく活用できるといった、潜在的な需要が多くあると考えています。

「企業だけでな大く、小規模ECサイトにとってもアフィリエイト広告のニーズは大きい」と、自信を語る柳澤氏

須加 つまり、アフィリエイトはまだまだ成長していくと?

柳澤 そうですね。全体としても規模も大きくなっていると思います。インターネットの広告全体のうち、アフィリエイトが占める数字も伸びています。景気が後退している局面では、企業はコスト削減のため、成果の見えないものへの広告費用を抑えます。今後も成果報酬のウェイトは上がっていくことでしょう。また、エンドユーザ側もコストカット意識が向上し、楽天・アマゾンなどネット通販の利用機会が増えています。

須加 一方でアフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)間の競争も激しくなりそうですが

柳澤 広告主、パートナーメディアの獲得に際しASPは常に競合していますので、営業の現場での競争は以前より存在しています。しかし、現状では、市場が飽和状態になっていませんし、例えば業界再編などがあるとしてもそれまでにはまだ時間があると思われます。

広告事業者の審査体制に苦言を呈す柳澤氏

須加 Eコマースの拡大はアフィリエイトの未来にとってプラス要因ですが、では、一方で違法な商品や問題のある商品を売っているECサイトもあるようです。そのアフィリエイトが世の中に出ている、そういった状態についてどう考えますか?

柳澤 ASP事業者は広告主の審査基準をちゃんと作って運用するべきですよね。審査基準が緩ければ、問題のある商材が入ってくる可能性も高いです。詐欺のような行為はネットに限らずどこでも発生してしまうものなので、広告を取り扱う事業者は審査基準をしっかりと持って厳しく運用することが大事です。
違法なビジネスはいずれ淘汰されるものです。違法商品と知りながら広告を掲載することはメディア側の判断ではありますが、明らかに詐欺とわかる情報商材などを勧めていれば、それは詐欺の共犯で幇助に当たりますので肝に銘じていただきたいです。
世の中には危険なことがあるということを前提として消費者も身を守らないといけないし、サービス事業者も襟を正していく必要があると思います。
 広告主として、また、パートナーサイトとして安心してアフィリエイトを使うために、しっかりと運営されているASPを選ぶことも必要です。

不正行為への対策

須加 アフィリエイトが伸びてくるにつれていて、不正に成果報酬を得ようとするものも存在しています。それにより、ネガティブなイメージが付きまとうことに関しては、どうお考えですか?

柳澤 不正な成果報酬獲得があるということはアフィリエイトの改善すべき課題です。しかしクリック型の広告モデルで起きている不正と比べ、我々が展開しているアフィリエイトは、広告主が報酬を支払うべき成果が実際に出たかどうかを検収した上で、成果報酬の支払いを確定しています。ですので、不正を働いて利益を上げることは相当難しい状態ではあります。
 しかし、それでも残念なことに不正な試みは存在していますこれに対し業界全体として取り組むために、2006年より国内主要ASPが加盟する日本アフィリエイト・サービス協会を組織しています。ここでは、不正行為を行ったパートナーサイトの情報をデータベース化し共有したり、不正の手口の勉強、情報交換などを積極的に行い、安心してアフィリエイトをお使いいただくための環境づくりを行っています。

企業情報

ファンコミュニケーションズ本社にて

株式会社ファンコミュニケーションズ http://www.fancs.com/
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷1-1-8 青山ダイヤモンドビル8F
TEL:03-5766-3780 FAX:03-5766-3782
資本金 940,900,000円(’10年3月末日時点)
従業員数 169名(アルバイト含む)

1999年10月東京都港区南青山においてインターネット上のマーケティングをサポートする技術会社として、資本金1,205万円で設立。
2000年6月 アフィリエイトプログラム運用代行サービス『A8.net』を開始し、アフィリエイト関連サービスに着手。
2002年7月 商用サイト専用検索サービス「Zubaken.net」を皮切りに、自社媒体開発に着手。
2003年6月 アフィリエイトプログラムに関連するビジネスモデル特許を取得(特許番号:特許第3440040号)
2005年11月 ジャスダック証券取引所に上場

同社の全事業ののうち約95%を占めるのは、創業時から続いているインターネット広告サービス。そのうちの約65%がPC向けのインターネット広告サービス『A8.net』、残りの約35%がモバイル向けインターネット向け広告サービス『Moba8.net』で構成。全事業のうち約5%で、サンプル情報サイト『Sample Fan.com』など自社媒体の開発、訴求などを行っている。
また、A8.netとの連動により、知識を持たずとも簡単に充実したアフィリエイト機能を利用できる『ファンブログ』をユーザに解放するなど、アフィリエイトのすそ野を広げている。
2008年12月 には、『A8.net』が「ASP of the Year 2008」を受賞するなど、インターネット広告業界で、注目を集めいている。

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