第一回 株式会社アドウェイズ 代表取締役CEO 岡村陽久氏

2014年7月27日

岡村陽久(おかむら はるひさ)
中学卒業後、4年間の飛び込み営業経験を経て、2000年にアドウェイズエージェンシーを創業。2001年2月28日、株式会社アドウェイズ設立に伴い代表取締役に就任。
国内最大級のPC/Mobileアフィリエイトサービスの運営をはじめ、メディアの企画開発や、中国におけるインターネット広告サービスなど多彩な事業を展開。2006年、史上最年少の記録で東証マザーズに上場を果たす。
聞き手
株式会社ファーストアーキテクト
取締役会長 須加力(すか ちから)
1970年 桐蔭学園工業高専学校電気工学科卒業
日本IBM株式会社、横河ヒューレット・パッカード株式会社、日本タンデムコンピューターズ株式会社を経て、日本ストラタスコンピュータ株式会社システム本部長、株式会社AT&Tソフトウエアジャパン ネットワーク推進部長、フューチャーシステムコンサルティング株式会社コンサルテーション部長を歴任。
2004年8月株式会社ファーストアーキテクトを設立、代表取締役社長に就任。2007年7月より現職。著書に「Webアプリケーションサーバー完全構築ガイド」(日経BP社、2000年)、「誰でもわかるセキュリティ設計」(共著=日経BP社、2003年)
文・構成 杉原光徳
撮影 ITビジネスジャーナル編集部

須加力 アフィリエイト業界でトップを走り続ける御社ですが、PCとモバイル事業の現況をお聞かせください。

岡村陽久氏(以下、敬称略) アフィリエイトは、PCサイト向けアフィリエイトサービス『JANet』と、モバイルサイト向けアフィリエイトサービス『Smart-C』が大きな柱で、売上のメインは『Smart-C』です。

3年前まではアフィリエイト事業の売上の7割をPCサイトが占めていたのですが、今はモバイルの売上が7割。カラーコンタクトレンズの9割がモバイルサイトから売れているとも言われるように、若い人は携帯電話を使って買い物をしているので、今後の成長も期待できます。

逆にPC向けアフィリエイトはPCの普及具合から見てインターネット創世記の頃のように伸びることはないでしょうね。なので、PC向けアフィリエイトサービスは中国で『CHANet』を展開しています。中国におけるPCアフィリエイト市場は、日本の5年前と似ていますし、インターネットが普及しネットビジネスを展開する企業が増加している中国やインドなどでは今後アフィリエイト市場が大きくなる可能性が高いんですよ。

モバイル事業の好調ぶりを語る岡村氏

須加 最近、新たにmixiアプリに進出なさったのですね。

岡村 はい、現在mixiアプリにおけるリワード広告に力を入れています。ユーザーがmixiアプリ内でアイテムを得るためには、直接課金で得る方法と、アフィリエイト広告に登録する際の報酬で間接的に得る方法があり、後者がリワード広告といわれるものです。ユーザーにとってもアプリ開発社にとっても、とてもメリットのあるシステムなので、弊社では今一番力を入れているんですよ。

不正アフィリエイターへの対処

須加 しかし、アフィリエイトの種類を増やすと、報酬を狙った悪質なユーザーが出てきますよね。その対処はどのように行っているのですか?

岡村 アフィリエイターは、自分のサイトを経由して申し込みが行われた場合に報酬が発生するので、自身のサイトから他人の名前を使って何度も架空の申し込みを行うなど、いわゆる“不正アクション”ということがありました。しかし、今ではそのようなアクションを自動的に削除するシステムを構築していますので、不正な行為は激減しています。

広告主とアフィリエイターからの信頼関係を熱弁する岡村氏

もし、アフィリエイターが不正に成果報酬を搾取できたりすると、広告主は損をするのでアフィリエイト業界と関わらなくなり、徐々に市場が縮小してしまいます。なので、日本アフィリエイト協会を立ちあげ、不正アフィリエイターが入ってきにくい市場となるよう、不正をする特定人物の情報を業界内で共有するなどして、アフィリエイト業界から追い出せるよう腐心しています。たびたび話題になる海外からの不正アフィリエイターに対しても、弊社は海外からのユーザーのアフィリエイトを無効にしていますし、同様のことを行っているASPは少なくないでしょうね。

アフィリエイト業界への信頼構築のために

須加 しかし、国内には悪質なアフィリエイト広告を扱うASPもあるのも事実。日本アフィリエイトサービス協会の会長として、どのようにお考えですか?

岡村 ASP側からすれば、「アフィリエイターが不正をして報酬を得ること=クライアントから報酬が得られる」ということなので儲けに繋がります。それを見越して不正を自ら起こすASPはないと思いますが、不正を見逃しているASPはあるでしょう。アフィリエイト報酬が異常に高いアダルト系アフィリエイトを利用し、悪いことをするASPが多いのもありますし、情報商材によくある瑣末な商品を扱うASPも少なくありません。

しかしアフィリエイトで誰かが不当に利益を得ることで、アフィリエイト業界が信頼を失っていく状況になる。ですから、アフィリエイトサービス協会としては悪徳ASPを排除していきたいと考えています。もちろん、国が悪徳ASPを排除してくれればよいのですが、現状の法律では厳しいですしね。

そもそも、インターネットビジネスに携わる者として、悪意のあるインターネットビジネスはやってはいけないと思っています。今では消費者センターもインターネット上の詐欺まがいの行為には敏感になっていて、国も立ちあがってくれている。それと共にユーザーも知恵をつけ、どんなものが悪徳なものかを理解し触れないようにもなってきた。

この状況を保ちつつ、アフィリエイトサービス協会の各社が健全なASPとして活動をし、市場を健全化させることで、健全なASPが儲かり、不正を行うASPは儲からないような流れを作ることができれば、不正アフィリエイトは自然と排除されていくのではないかと考えています。

日本アフィリエイトサービス協会の役割

須加 アフィリエイト協会として行政に働きかけたりはしないのですか?

岡村 していますよ。準則といって国が定めるアフィリエイトのガイドラインの情報を経産省に提供したり、消費者センターと連絡を取り新手の不正を防いだりもしています。その消費者センターからは去年の11月に、アフィリエイトで儲ける情報商材について注意喚起などがありましたが、悪徳な情報商材がアフィリエイトの名前を使うのは困ります。

行政とも連携し、アフィリエイト業界の健全運営について展望を描く

 全ての情報商材を十把一絡げにするのは違いますが、我々からすると悪徳情報商材は本当に困る存在なんです。それは情報商材絡みのニュースで、見出しに『アフィリエイトで被害』などと出ると、さもアフィリエイトサービスそのものに問題があるかのように『悪徳情報商材はアフィリエイトで月100万円儲けている』と報道され、アフィリエイト系の企業の株価は全社下がってしまうほどの大迷惑を被るんです。ですから、アフィリエイトの名を利用した不正な情報商材は、わかる範囲で警察庁に情報を提供していますよ。

須加 とはいえ協会として、淘汰していくのは難しいのでは?

岡村 えぇ。悪徳情報商材は問題になってはいますが販売することは違法ではないので、我々も情報商材を潰す権限を持ち合わせていません。ですから、健全化できるように自分たちで動くしかない。

しかし、アフィリエイトは、利益が上がったものに対して広告費を支払うシステムであり、企業にとってリスクのない非常に価値のある広告です。ゆえに、アフィリエイトというのは、今後さらに必要とされるサービスだと我々は考えています。

いますぐは難しいかもしれませんし、どのくらいの時間がかかるかはわからないですが、この先アフィリエイト市場がさらに成長したとき、不正ASPの数は減っているに違いないでしょうね。

企業情報

アドウェイズ本社にて

株式会社アドウェイズ http://www.adways.net/
〒163-6004
東京都新宿区西新宿6-8-1 住友不動産新宿オークタワー4F
TEL:03-5339-7150(代表) FAX:03-5339-7151
資本金 1,476,958,000円(’10年1月末日時点)
グループ連結売上高 83億251万円(2009年3月期)
グループ従業員数383名(アルバイト含む)

・2001年2月28日 代表取締役である岡村陽久氏が大阪にて、インターネット専門の広告配信ネットワークサービスを目的とした「株式会社アドウェイズ」を設立。成果報酬型広告システムを中心に事業を拡大させる。
2003年12月 中国上海市にシステム開発の拠点となる、愛徳威軟件開発(上海)有限公司(連結子会社)を設立。
2006年6月20日 東証マザーズ上場(史上最年少での上場を記録)。
現在は、中国上海市に営業拠点として、愛徳威広告(上海)有限公司(連結子会社)も設立している。

主な事業は、創業時から続いているPC/モバイルサイトにおけるインターネット広告と、メディア開発が中心。
広告事業では、PC向けアフィリエイトサービス『JANet』と、モバイル向けアフィリエイトサービスでは『Smart-C』を展開し、mixiアプリ登録を促すためのアフィリエイトや、ソーシャルアプリ内で広告事業の展開を行うためのリワード広告にも着手。中国での活動も、アフィリエイトプログラム「CHANet(チャネット)」、モバイル広告サービス「WAPclick(ワップクリック)」、検索連動型広告サービス「Keynet(キーネット)」と、幅広く広告事業を展開している。
 一方、メディア開発・運営事業では、広告モデルで展開するモバイルサイト運営のほか、子会社アドウェイズ・エンタテインメントにおいてタレント/アーティストの公式サイトを100以上運営している。

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