第三回 株式会社ネットマーケティング 代表取締役 宮本邦久氏

2014年9月15日

宮本邦久(みやもと くにひさ)
1975年7月16日生まれ。熊本県出身。1998年、慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、日商岩井(現、双日)に入社。ITX株式会社に転籍し、数社にてネット事業に携わる。そこで培ったノウハウを生かし2004年7月に株式会社ネットマーケティングを設立。企業のwebプロモーション支援サービスを開始。特にアフィリエイト広告分野の戦略立案、企画構築から制作・進行管理、運用までを含むコンサルティングサービスを提供。2009年からはアフィリエイトメディアの企画開発も手掛けている。

聞き手
株式会社ファーストアーキテクト
取締役会長 須加力(すか ちから)
1970年 桐蔭学園工業高専学校電気工学科卒業
日本IBM株式会社、横河ヒューレット・パッカード株式会社、日本タンデムコンピューターズ株式会社を経て、日本ストラタスコンピュータ株式会社システム本部長、株式会社AT&Tソフトウエアジャパン ネットワーク推進部長、フューチャーシステムコンサルティング株式会社コンサルテーション部長を歴任。
2004年8月株式会社ファーストアーキテクトを設立、代表取締役社長に就任。2007年7月より現職。著書に「Webアプリケーションサーバー完全構築ガイド」(日経BP社、2000年)、「誰でもわかるセキュリティ設計」(共著=日経BP社、2003年)
文・構成 杉原光徳(ミドルマン)
撮影 ITビジネスジャーナル編集部

須加力(以下、敬称略) 御社は、どのようなビジネス展開をし、将来的にはどのような展望をお持ちなのでしょうか?

宮本邦久氏(以下、敬称略) 弊社はアフィリエイトのエージェント事業を行っているのですが、実は’04年の創業当時は大手メディアをネットワーク化したASP事業を行っていたんです。しかし、ファンコミュニケーションズさんやアドウェイズさんに比べ、弊社のASP事業は後発。「このまま続けていくのは、どうなのか?」と感じていたところに、リスティング広告のエージェントをなさっているアイレップさんと出会ったんです。そして、「アフィリエイトの世界にもそういうエージェントってあった方がいい」と考え’07年に事業転換したんです。

ASP各社それぞれのサービスを一括管理

広告主にとってベストのASPをマッチングさせるのが同社の業務だ

須加 クライアントと広告主がアフィリエイトを独自でやっていくのは厳しいと?

宮本 広告主さまは、販促活動をテレビや雑誌、新聞にラジオ、そしてネットで行っているのですが、ネットだけでもリスティング広告やSEO対策、アフィリエイトと細かい分類がある。しかも、アフィリエイトの場合は対応しなければならないASPが上場している会社だけでも4社あり、モバイルにおいてもASPが複数ある。それぞれに対して目配せを行わないといけないので、運用の手間がかかってしまう。この運用にかかる手間暇を一元管理したいというニーズがあったので、目をつけました。

須加 御社のサービスであるアラジンも、エージェント事業の一環ですか?

宮本 えぇ。アラジンは、アフィリエイトの運用を行ううえで煩雑な運用業務を一元管理できるソリューションのツールで、約30のASPさんとの取引をまとめることができます。多くのASPを一元化できるアラジンをひとつのASPと見立てていただき、我々の運用チームが広告主様に情報をフィードバックしていく。こうした広告主様のアフィリエイト運用支援を主としつつ、アフィリエイトの戦略立案のコンサルティング事業も行っています。弊社はASPではないので、中立的な立場から広告主様に合ったASPを選び出し、かつアフィリエイターの皆さんへの最適な価格設定などをご提案しています。

一部アフィリエイターの悪意と無知

須加 そのASPを選ぶ基準というのはあるのでしょうか?

宮本 はい。やはり我々としては広告主様に対して自信を持ってお薦めできるASPでないといけません。

須加 その有象無象にASPが存在している現状においては、一部のASPによってアフィリエイトに対する世間のイメージが悪くなっているという事実もあります。

クライアントの広告イメージを守るパトロールサービスを展開

宮本 アフィリエイト業界に悪いイメージをもたらしている原因は、主に2つあると考えています。ひとつは悪意をもって不正を働いているアフィリエイターがいること。もうひとつは、悪意はないものの、広告表記などを間違えることで結果としてブランドイメージを傷つけてしまうこと。前者は、各ASPが協力しブラックリストの共有をしています。このような努力でアフィリエイトサイトの健全化は今後図られて行くと思います。後者は、意図的ではないので、我々が管理をしなければならない。しかし、その管理、つまりサイトパトロールをするにしても、多くのアフィリエイトサイトがあるので大変です。我々は、そのサービスを広告主様に提供するために、サイトパトロールを生業とするイーガーディアン社と提携して展開しています。

須加 ある程度まではプログラムに頼れても、サイトパトロールは人力でしかできないですからね。

宮本 その他にも弊社は事業として、コンサルから得た知識を利用したクレジットカード比較のアフィリエイトサイトも立ち上げているのですが、そこではCGMを利用したユーザーの声を反映させ、読者目線に近い情報を出しています。

須加 CGMであれば、情報の信頼度も高いですしね。しかしアフィリエイトサイトのなかにランキングを掲載し、その順位をアフィリエイト報酬額によって決めていたりするという話も聞きます。

宮本 アフィリエイトメディアというのは、広告宣伝メディアにあたると考えています。ランキングは商品の魅力と媒体側がもらっている報酬のバランスから順位が決まりまるので、当然報酬が高ければランキングが上がりやすい状況があります。ただし、アフィリエイトサイトが広告企画であることをユーザーにはわかりづらい側面もあり、この状況を見る限りアフィリエイトメディア業界は、まだ完成までの過渡期なのかもしれません。

須加 クレジットカードも、創成期のころはブラックリストがなかったのですが、ブラックリストができてからは、徐々に健全な使われ方をするようになった。その点、アフィリエイトは、まだスタートポイントであり、悪意をもてば悪事ができるかもしれませんね。では、それをどうやって健全なものにしていくのか、が大事なのでは? もちろん、モラルがしっかりしていなければならないのは理解できます。しかし、モラルだけでは難しいのも事実です。

宮本 メディアの精度という意味では、何を根拠に情報を出しているかを情報提供元が伝えるようになっていくのではないでしょうか? 自動車保険などが好感度第1位と謳う際には情報元を書いている。しかし、アフィリエイトサイトではそこまで充実していない。そういう意味で、今後はサイトの作りも変わっていくのではないでしょうか。

詐欺まがい商材を公然とアフィリエイト

ASP業界標準の広告ガイドラインが必要とされている

須加 ASPのなかには情報商材を出しているところもあり、なかには詐欺まがいの情報商材を奨めるところもありますね。

宮本 アフィリエイト協会に加盟する大手ASPなどはガイドラインや広告規定などがあるので安心ですが、零細ASPのなかには「売れれば何でもいい」というところもある。すると情報商材が悪質な場合でも審査もなく掲載されることがある。こういった情報商材などはアフィリエイト収入が高かったりするので、メディア側も飛びついてしまうんです。ユーザーにしてみれば、真っ当なASPか悪質なASPなのかを判断する仕組み自体がありません。これは、各ASPが標準的な広告規定を共有していくようにするしかありません。アフィリエイト市場は伸びていますが、悪意あるASPが出てしまえばアフィリエイト業界にマイナスイメージを持たれたのでは、業界全体は発展しません。だからこそ、アフィリエイト協会の活動には我々も期待をしたいです。

企業情報

ネットマーケティング本社にて

株式会社ネットマーケティング http://www.net-marketing.co.jp/
〒107-0062
東京都港区南青山5丁目7番17号 青山小原ビル(小原流会館)4階
TEL:03-5778-4144 FAX:03-3406-4149
資本金 136,820,000円(資本準備金 126,820,000円)(’ 10年6月30日時点)
従業員数 41名(アルバイト含む)

2004年7月 株式会社ネットマーケティング設立に伴い、代表取締役に就任。
主な事業は、アフィリエイトエージェント事業で、アフィリエイトマーケティング領域における「戦略立案(プロモーション設計・課題解決)」及び「運用支援(業務効率化・安全運用)に注力したコンサルティングサービス」を行っている。
 アフィリエイトメディア事業では、「クレジットカード」「DVD」「エステ」「家庭教師」「FX」の比較サイトを運営している。

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