[解説] 電子出版の全貌と未来
~電子書籍ビジネス発展への処方箋~

湯浅 俊彦

夙川学院短期大学児童教育学科准教授 大阪市立大学大学院創造都市研究科都市情報環境研究領域博士(後期)課程修了。日本出版学会理事、日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長などを歴任。『電子出版学入門 出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ』(2009年・出版メディアパル刊)ほか著書多数。

第1章 電子出版の定義をめぐって

「だれが電子書籍を殺すのか?」という特集タイトルは言うまでもなく、21世紀初めの出版業界を震撼させた佐野眞一著『だれが「本」を殺すのか』(プレジデント社、2001年)に由来している。佐野氏が提起したのは出版をめぐるグーテンベルク以来の地殻変動の問題であり、その克明な取材によって明らかにされたのは出版業界の制度疲労の実態であった。しかし、今日の電子出版の動向の中でも電子書籍を殺しかねない新たな問題が起こっている、というのが本特集のテーマである。

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第一部 佐野眞一氏インタビュー
「だれが電子書籍を殺すのか-電子書籍を殺す情報商材」

「電子書籍」の時代がやってきた—
アップルの「ipad」が火をつけた格好の電子書籍狂想曲は様々な思惑が絡み合って出版業界、ハードメーカー、書き手を巻き込んで益々喧しさを増している。そんな中、実は出版業界人が知らないとんでもない事態が足下で進行している。
電子書籍市場を「焼け野原」にしようとする電子書籍詐欺商法、「情報商材」がそれだ。巷間聞き慣れない「情報商材」だが、年間被害額はすでに日本のPC向け電子書籍市場の3倍の200憶円に及び、国や警察も動き始めた。コンテンツ業界の信用危機に『だれが「本」を殺すのか』の佐野眞一氏が警鐘を鳴らす。

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